ADS-B 受信データによる飛行ルート別の航空機位置予測

亀岡 航 卒業論文要旨

NTN(非地上系ネットワーク)の一つとして期待が寄せられているHAPS(High Altitude Platform Station)の実用化には、地上局からの機体追尾技術が必要であり、それを可能にする高精度の機体位置予測が不可欠である。本研究では航空機が周囲に機体の位置情報などを発信するADS-B(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast)という仕組みを利用し、通常の航空機について機体の位置予測を試みた。まず、異なる時間・地点で受信したADS-Bデータから、飛行ルートの異なる3機体を例として取り上げ研究対象とした。次に、3例の受信データについて最小二乗法を用いたフィッティングで位置予測を行った。この際、過去何秒間の位置情報(緯度・経度・高度)に基づき、何次関数によるフィッティングを行うかでケースを分け、予測精度が最も良くなる条件を調べた。さらに、その最適な条件で実際に10秒先の位置の予測値を求め、実際の観測値との差を比較し精度を考察した。結果として、複雑な飛行ルートの場合の精度は良くなかった一方で、単純な飛行ルートの場合はHAPSの実用に利用可能な程度の精度で予測ができた。この結果をHAPSの実用化に直接的に役立てることは難しいが、HAPS追尾におけるADS-B受信データによる機体位置予測の可能性が示された。