大統領令が映すアメリカの宇宙開発

桂大志 卒業論文要旨 

大統領令とは、アメリカ大統領が連邦議会の承認を必要とせずに、成立した法律に基づいて連邦行政機関に対して行政権を行使できるような、大統領が政策形成できる手段の一つである。本稿では、アメリカ政府が宇宙開発を推し進める意図・目的は何かという問題意識の元、大統領の政策形成と意思表明をする主要な手段である大統領令の分析を通して、アメリカの宇宙開発の目的を新たな側面から浮かび上がらせることを試みた。アメリカの宇宙開発を対象にしたこれまでの研究では、国際政治学や安全保障論などから論じた「国家」に焦点を当てたものが多かったが、筆者はアメリカにおいては大統領「個人」の意向が大きな影響力を持っているのではないかという仮説を持って本研究に取り組んだ。第三章の研究においては、早期の月面有人探査実現を目指すトランプ氏の大統領令における宇宙開発に関わる言及が、過去の大統領たちに比べて多いことが分かった。第四章では、ワードクラウドを用いて該当文書の中で高頻出する単語を洗い出した。その結果、各大統領が宇宙開発をどのような政策に位置付けているのかを理解する糸口を見つけることができた。

宇宙開発に関わる言及をした大統領令を6か月ごとに集計した時系列グラフ

宇宙開発に関わる言及をした大統領令を6か月ごとに集計した時系列グラフ

「宇宙開発に関わる言及をした大統領令」の本文を大統領毎にワードクラウド化

「宇宙開発に関わる言及をした大統領令」の本文を大統領毎にワードクラウド化