友松雅人 卒業論文要旨
本研究ではVixen社の赤道儀SXD2を用いて人工衛星の追尾を行った。SLR観測局の建設や運営はコストがかかるため、小型で安価な追尾システムが必要とされている。市販の赤道儀で衛星追尾が可能となれば、簡易的なSLR観測局の架台部としての運用が期待できる。
本論文ではPythonで衛星追尾プログラムを作成し、その追尾精度を評価した。プログラムは公開されている衛星データベースから現在位置を計算し、その座標を赤道儀に送るものである。その際9つのパラメータを用いて望遠鏡の軸較正を行い、架台の設置誤差等を望遠鏡に反映した。追尾した人工衛星は動画や写真に収め、画像処理ライブラリを用いて追尾精度を計算した。高度20,000kmの衛星であれば画面中央からの追尾誤差3分角程度で追尾することに成功した。また高度の低い衛星は動画で撮影し「画面中央からの追尾誤差」と「追尾の安定度」の二項目で精度を評価した。高度1,500kmの衛星であれば、衛星像の安定度は平均5秒角(標準偏差4秒角)で追尾することができた。