固定遅延計測とアラン分散を用いたイベントタイマーの性能評価

塚越涼 卒業論文要旨

本研究では、従来SLRシステムで採用されてきたEvenTech社製のイベントタイマーA032-ETと比較して、安価かつ軽量であるSwabian Instruments社のイベントタイマーであるTime Tagger Ultra value editionの性能評価を、A032-ETとの比較に基づいて行った。具体的には、長さの違う2本のケーブルを用いた固定遅延の計測と、ディレイジェネレーターを用いて生成した複数の固定遅延の計測を二つのタイマーで行い、その結果を比較した。また、アラン分散を利用したTime Tagger Ultra value editionの性能評価も行った。
固定遅延計測の結果、1μsから10msのレンジにおいて、A-032ETの測定値を真の値とした場合のTime Tagger Ultra value editionによる測定値のばらつきが、標準偏差にして56-58psであること、アラン分散を用いた評価の結果、SLRの実用レンジにおいて極端な性能の劣化が起こらないことがわかり、Time Tagger Ultra value editionが、SLRシステムでの運用に耐えうる性能を有していることが示された。