生成AIの時代に即した著作物利用制度とその運用

長尾 樹利 卒業論文要旨

近年、ChatGPTなどに代表される生成AIの発展が著しい。簡単な指示を入力するだけで、一から作ると手間がかかる作品も大量に生成できる。その便利さ故に、社会の様々な分野で生成AIの活用は進んでいる。しかし、新しい技術はしばしば法律や制度に先行し、それらと衝突する。生成AIと著作権についても例外ではない。いかにAI技術の発展と著作権保護を両立するかが喫緊の課題となっている。本稿ではまず、著作権法のうち生成AI利用に関連が深いと考えられる箇所に絞って説明をした。続いて著作権の運用上重要な役割を果たしている著作権管理団体について説明をした。そして、生成AIの仕組み及び機能について言及したうえで、生成AIの利用によって生じる可能性のある法的問題を3つに分けて説明した。その後、それら3つの問題について現状有識者の間で一般的に提唱されている解釈及び対応策について説明を加えた。それらを踏まえ、現状提唱されている解釈及び対応策に関する筆者の見解を述べたうえで、具体的な対応策を3つ提案した。最後に、それら3つの対応策について実効性を担保するために考慮すべき要素について言及した。