工藤冴斗 卒業レポート要旨
技術的に成熟し、現在では人やモノの輸送手段としてインフラとなっている航空機の発展の過程を概観した上で、航空機と同様に宇宙への輸送手段として発達してきた宇宙開発の発展の過程と比較した。この比較を通して宇宙開発の発展過程は航空機の発展過程から見ると、どのような段階を歩んでおり、現在はどの段階にあるのか、また更なる発展の鍵は何かということを探ることが本論文の主題である。
具体的には航空機とロケットの生産数や事故率の推移、民間産業の成長過程などを踏まえ、比較を行った。その結果、航空機の発展段階と照らし合わせると、現在の宇宙開発はいまだ官需に大きく依存しており、民間需要が拡大していないおらず、ロケットの技術的発達も停滞傾向にある点から、いまだ黎明期にあることを指摘した。さらに今後、アメリカを中心に民間宇宙ベンチャーが台頭していることに触れた上で、そうした成果次第では成長期へ移行し、産業として更なる発展が可能性があると述べた。